間取りが決めて!「通風」・「創風」
快適な「通風」・「創風」のある間取りを考えるには、夏場の“風がある時”と“風のない時”を根拠に考える必要があります。そしてこれらは、さらに、風がある時の朝・昼・夜、風がない時の朝・昼・夜、風のない深夜などのシーンに分解できます。間取りの快適性は、これらシーンの条件と、家の立地(地形、南向きか、北向きか、隣家との近さ等)、さらには、基本的な間取り、各部屋の窓の大きさ、種類、配置等のマッチングにより生み出されます。以下シーンごとにみていきましょう。
(1) 風がある時に大切になるのは「通風」
風がある時は「通風」という概念で、風が、風上から、家や部屋の中を通って風下へ抜ける風の道を作ることが大切です。まず、家や部屋を風が抜けるには、対角線にとった2つの窓を設置する必要があります。風は窓が一つの場合にはその空間を抜けることはありません。室内が熱く、室外が涼しい場合、外の風を最大限取り入れることが「通風」というものです。これを実現する間取りは、以下のようなものが望ましいと考えられます。
・対角線の開けた窓のある、広いリビングルーム
・開放状態室内ドアを開け1フロアで通風させる
・部屋を南北に重ねないで、東西の一列とし、各部屋の南北に窓をつける
・部屋が南北に重なる場合、南向きの部屋と北向きの部屋の間に廊下を通す
・部屋が南北に重なる場合、南向きの部屋のドアを開け、廊下を風の通り道にする など
通風は家の中の「横の流れ」の風の通り道を確保することが大切です。
(2) 風がない時に大切な「創風」
まず注意したいのは、「創風」といっても実際に風が吹く訳ではなく、空気が流れることを「創風」といいます。「創風」とは、簡単に言えば、温かい空気は上に上るという温度差を利用して室内に空気の流れを作ることをいいます。家の中に「上昇気流」を作ると、外の空気を誘引し「温度差換気」が実現できます。「通風」が「横の流れ」とすると、「創風」は「縦の流れ」の空気の通り道を確保することになります。これを実現する間取りは、以下のようになります。
・1階と2階が吹き抜け構造となっている
・1階2階が直線的な階段で繋がっている
・家全体に「地窓」と「高窓」があり、階段や吹き抜けなどで空気の通り道がある
・寝室などには窓のあるロフトをつくり熱い空気を外にだす
・ロフトのない場合には、ひとつの部屋の上下に窓を作る
・室内ドアを開け、家全体で温度差換気をさせるような間取り など
「創風」というのは、温度差を利用した換気をいかに実現するかがポイントとなってきます。
「通風」・「創風」は、家の「開ける技術」と言われていますが、これは、高気密・高断熱住宅の「閉じる技術」と何ら矛盾することなく、両者が相まって、快適な省エネ住宅を実現することになります。